就職留年は得である!と全力で言いたい
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39919
この記事を見て嫌悪を感じました。
就活留年を愚の骨頂とエリートを歩んできた解説者が言っています。
無視してもいいものですが、ブログのメインとなるところなので、自分の考えと比較していきたいと思います。
上記の記事の筆者としては、
「内定はあるけど満足している企業ではないから就職留年を考えている」学生に対して、「就職留年は合理的な戦略ではない」として、「さっさと社会に出ようよ」と結論づけています。(ちなみに結果論でなく意思決定レベルでの話ですよという逃げ道をつけて)
その理由を
『就職留年する場合の、リターン、リスク、コストを考えてみよう。』
としております。
記事のそれぞれを簡単にまとめると
1:リターン
「来年の方が就職環境は良さそうだから、もっといい会社に入ることが出来るのではないか」というところにあるのだろう。
これは同感です。それしか目標はないです。
2:リスク
リスクは、環境が好転しても残るはずの個々の企業における人材選考の不確実性と、雇用市場の環境が期待するほど改善しなかったり、経済的なショック等であえって悪化したりするリスクの二種類がある。
「受ける企業の採用人数・方針」や「採用総数につながる景気全体の善し悪し」は一年後悪くなるかもしれないし、就活生には決められない。
これも同感です。
3:コスト
「稼ぐ期間」が1年短期化して、職歴後半の1年分の年収を失うことと、1年間の学費・生活費といった、かなり確実なコストが掛かる。
これまた同感です。『職歴後半』からみてある程度長期で働くことが前提となっているみたいですね。しかし、下手に賃金が安い企業からの内定であれば、一年留年して賃金の良い企業で長期的に働いた方が多くなるのではないでしょうか?
4:留年と転職の比較
大いに強調したいのは、1、2年働いてから、別の会社に転職するオプションがあることだ。もともと、大学生が会社のことを幾ら調べても、実際に就職して働いてみないと自分と仕事や職場との相性が分からない場合が多い。
最終的に自分のキャリアを築く職種を決めるまでの試行錯誤の期間は、年齢にして28歳くらいまで可能だが、早く就職する方が、この期間を長く取ることが出来る。この間、仕事を経験し、仕事の眼を通して世間を見た上で、自分の選択を行うことが出来る。適職が早く見つかった場合には、仕事を覚えてから実績を作ることができる期間が長い。
もちろん、働いてみた結果、不本意だと思って入社した会社や仕事が、実は自分に合っていて、環境としても、仕事のやり甲斐としても、満足ないし我慢の出来るものになる可能性がある。この場合も、将来、力を付けて転職する選択肢もあれば、起業する選択肢もある。
肝心なことは、就職先を決めたことが、自分の将来の上がり目の限界を決めることにはならないことだ。心掛け次第で、「働きながら」、仕事の内容を変えることも、勉強することも、経済的な条件を改善することも可能だ。
これは納得できません。(肝心なのは働いてからもがんばれよ!みたいですが)
大学生で分かることは少ない。だから1・2年働いて転職したほうが良いと言う論ですが、転職のメリット・デメリットで考えたいと思います。
メリットとしては(記事より)
・仕事の実感を持った上で転職できる
ということでした。
デメリットとしては(書いていないため個人的な想像)
・転職時1・2年でやめてしまう(少なくとも就職留年との比較なので期間は同じにしなければ不公平)人間という烙印を押される
・下手な企業ではキャリアアップは望めない(ランクダウンなら出来るんでしょうが)
となると思います。
ちなみに記事の筆者がどういう前提の学生を対象として書いているのか不明ですが
「大企業に行きたい中小企業から内定もらった」
という学生が中小企業で働き始めたら、「やっぱり一度大企業に行きたい!」といっても現実としてはかなり厳しいと思います。(あくまで「かなり」です)
一方で、就職留年では大企業に入社出来る可能性があります。
そして、就職留年して大企業に行き、転職したいと思い中小企業を志望するのは、逆よりはしやすいのではないでしょうか?(あくまで学生の意見です)
ここで一度まとめると、
「リスク」「コスト」は確かにある。
「リスク」に関しては、
『学生側ではどうにもならない点はある。しかし、「就職留年」と「転職」というリスクを天秤にかけた場合、一概に悪いと言えない。』
「コスト」に関しては、
「業界を変える等があれば全然一年分は取り戻せる」
としておきたいと思います。
続きまして「人材価値」が高まるのかについて(記事では順が逆ですが)
また、人を評価する側から見て、同じ大学、成績、人物の印象なら現役入学者の方がもともと優秀であってポテンシャルが高いと評価することがある(加えて、AO入試でなく一般入試の合格者がいい)。22、23歳の頃の1年の差は大きい。
他方、「大学入試浪人」と「就職留年」との間には、顕著な差がある。それは、前者が奏功した場合には入学する大学が変わり、その後の職業人生で人材として受ける評価を大きく改善出来る可能性があるのに対して、就職留年の場合、自分の側の価値を改善出来る可能性が乏しいことだ。
この方は面接の現場を知らないようですが、基本的にAOか一般入試かは聞かれません。
企業も正社員であれば長期で働いてほしいと思うはずですが、優秀な人を年齢で比べるでしょうか?
また、上記では、『就職留年に対して企業からの評価が「あがる」「変わらない」「下がる」のいずれになるのか』という議論で、『自分の側の価値を改善出来る可能性が乏しい』といっています。
別のところでは以下のように。
希望先に就職出来なかった学年の就職活動がよほどひどいものであったというのでない限り、企業側から見る人材評価は、1年留年することによって下がりこそすれ高まることはないから、これは雇用市場のトレンドに対する賭だ。
しかし、『自分の側の価値』は変わらないままなのでしょうか?(ここからが持論になります)
留年した場合、就活生のメリットとしては
・昨年の反省の上で行動出来る
・経験則からの余裕や危機感を持つことが出来る
・取捨選択がうまくなり,必要なことに時間や労力を注げる(いらない就活サイトからの案内を無視できるとか)
・話す内容のネタをいっそう深められる
というように、就活を体験した者として、他人や訳の分からない情報に流されることがなくなり、内容も深めることが出来、前年よりはしっかりと目標を見据え行動出来ると思います。(二回目の強みです)
一方、留年した場合のデメリットですが
・留年生を相手にしない企業・業界がある
・必ず理由を聞かれ、企業にとって正当でなければ評価は下がる
大きくはこんなものでした(自分は経験者ですので)。
相手にされなくなった企業・業界は確実にあります。
ここに入ろうと思うのであれば転職の方がいいのかもしれません。
一方、全く気にしない(採用の基準に関係ない)企業・業界もあります。
留年の理由は必ず聞かれます。そこで勝つか、負けるかはその人次第ですが。
そこが勝てないなら一年目より戦績は悪くなると思います。(記事の筆者はココを考えているんでしょうか・・・)
以上が持論になりますが、記事の筆者がいうような『自分の側の価値を改善出来る可能性が乏しい』ということは無いです。適切な努力を重ねられれば、自分のやりたいことも明確にわかった上で就活に取り組むことが出来、よりハッピーな企業から(転職もしなくていい)内定をもらえるのではないでしょうか。
長くなりましたが、泣きの一年を親などにお願いして二回目を行う、就職留年生の本気の思いを馬鹿にしないで欲しいと思います。